書籍
ウォールズ&ブリッジの森田長太郎は、2011年に共著で『日本のソブリンリスク』(東洋経済新報社)を出版して以降、これまでに合計で4冊の本を出版しています。ここではそれぞれについて簡単にご紹介します。
01
『政府債務』
2022年11月 東洋経済新報社
経済における財政政策の役割を重視してきたのはケインズ経済学であり、その最も過激な立場がMMT(現代貨幣理論)である。一方、主流派経済学は財政均衡を理想とし、金融政策による経済コントロールを重視してきた。実際には、金融政策と財政政策が経済成長やインフレ率に及ぼす影響は複合的なものであり、より多面的な理解が必要になってきている。本書では現代における財政政策の意味合いを独自の観点から考察している。
02
『経済学はどのように世界を歪めたのか』
2019年9月 ダイヤモンド社
1990年代以降、ニューケインジアンの経済学が現実のマクロ経済政策において大きな影響力を発揮してきた。金融政策によって経済成長やインフレ率などを自由にコントロールできるという考え方のもと、日本においても2010年代には異次元緩和の実験が日銀によって行われることになった。この大きな経済政策上の実験とポピュリズムとの関係など、本書では金融政策を経済思想史の大きな潮流の中で捉える試みを行っている。
03
『国債リスク』
2014年1月 東洋経済新報社
1990年代以降、急激な政府債務の累積により日本はいずれ財政破綻に至るのではないかとの見方が強まった。実際には日本国債の大きな波乱は回避されてきた。本書ではその理由について平易に解説している他、将来起こり得る財政破綻のシナリオについても整理している。
04
『日本のソブリンリスク』
2011年6月 東洋経済新報社(土屋剛俊氏との共著)
日本の財政破綻リスクへの懸念が最も強まったのは金融危機の余韻がまだ濃厚だった2000年代だったが、現実にはその予想は実現しなかった。本書ではそのメカニズムについて解説している。国内貯蓄、対外純資産などの存在が重要であることを指摘している他、2000年代に日本の財政破綻リスクを煽った格付機関のソブリンリスク評価の問題点についても言及している。